「リレー小説(純愛)三番手」
「続いて交通事故のニュースです」
縁起の悪いラジオを消して立ち上がる。
午後9時。
私は彼の家を出てすぐに「センセイ」の衣を脱ぐ。
早くしなければ。
彼はいつも,説得の後は散歩に出る。
彼の好きだと言っていたスカートに着替え,彼を探す。
彼の彼女として。
彼は自分を責め続けた。目の前で車に跳ねられた女教師を救えなかった自分を。
何年も何年もーーー
「また,説得?」
震えた声がバレないように,彼に聞いてみた。せめてもの私からの意地悪だったのだ。
「うん。」
なんども聞いた答えだった。
センセイの説得に答えることが,彼の罪滅ぼしなのだ。
「私にはなにも出来ないくせに」
小さく本音をこぼした。ーーー
忘れるよう言われた。
でも,できるはずがなかった
午後10時, 出来損ないの雪の中,彼がいた。
走って近づく。
声をかける。
頬を伝う涙に気づかれないように。
傘もささず。
いつものように。
とびきりの笑顔で
「濡れたいんだね!私と同じ」
「リレー小説」
テーマ:純愛
キーワード:「たこ焼き」「ラジオ」「輪投げ」「センセイ」「風邪」
書く順序: シンジ→アユム→シンペー
ルール:テーマに沿って3人がリレー形式で小説を書いていく.字数は1人400字.キーワードを必ず1つ以上使い,3人で全て使い切ること.前の人が使ったワードを使用しても良いが,それはキーワード使用のカウントはされず,カウントはあくまで新たなキーワードの使用にて行う.
今回の使用キーワード:「ラジオ」 担当:シンペー